店主です。
独り言です。
『”おっかぁ(お母さん)”
と言って笑顔で手をふる先に
指輪が光っていた様子が
今もはっきり目に焼き付いている』
家系図には戸籍書類で判明した
生没年月日を添えて納品しております。
戦争でお亡くなりになられた方は
ご依頼主様のご意向で
『~年没』ではなく『~年戦死』
と記載して納品する事もございます。
冒頭のお言葉はご依頼主様の
亡くなられた祖母様のお言葉だそうです。
ご依頼主様の祖母様は、いつも銀色の
可愛らしいハートの指輪を着けられていました。
ご依頼主様が幼いころ
何故おばあちゃんなのに
そんな指輪をしているのか不思議になり
祖母様に尋ねられたそうです。
銀色のハートの指輪は軍事工場の
端材で作られたものでした。
作者は戦争で亡くなられた大叔父様。
ご依頼主の祖母様にとってはご子息様
にあたる方です。
当時20歳そこそこだった青年は
軍事工場に従事されていたそうです。
なかなか暇が取れないさなか
久しぶりの実家帰省の際、母親に
手土産とした指輪でした。
大叔父様の欄には、ご意向にそって
『~年戦死』と記載し納品致しました。
ご依頼主様は、何か親族が集まる際に
家系図を囲んでこの話ができればと
仰っていました。
戸籍書類に記載されている事項は
文字一つ一つ絶対に見誤ってはいけない
書き損じてはいけないと、元より重きを
おいて作成にあたっています。
このようなエピソードを伺って
更に文字ひとつひとつの重さに
襟を正されました。
そして
静かに手を合わせました。
familyhistoryは紡がれますね。