身分制度が確立していた江戸時代ですが、実は戸籍制度は復活していませんでした。ですが、下記のような現在の戸籍制度の役割を果たすようなものが歴史に登場しています。
- 宗門人別改帳
- 過去帳
- 分限帳
【宗門人別改帳】
宗門人別改帳(しゅうもんにんべつあらためちょう)は、江戸時代の中期に宗門人別改で宗門改帳と人別改帳が統合された民衆調査のための台帳。現在で言う戸籍原簿や租税台帳である。宗旨人別改帳とも呼ばれる。名義変更が遅れないかぎり、宗門人別改帳の筆頭者は検地帳の土地所有者と記述が一致する。
ウィキペディア(Wikipedia)より
領主が村ごとに作成させ、提出させ公的な目的を持った帳簿です。幕府は島原の乱以降、鎖国により海外交流の制限を強化しました。キリスト教も禁止し寺請制度(てらうけせいど)を設けます。当初はキリシタン排除の機能・意味合いが強かったのですが、後年になるとキリシタン摘発の激減もあって、宗門人別改帳は戸籍原簿や租税台帳の側面を強く持つようになっていきました。
宗門人別改帳には民の家族構成・生年月日・職業・血縁関係等が記載され檀家となっている寺が書かれます。丁稚奉公等で土地を離れるときには、寺請証文を発行してもらい、新しい寺で手続をしなければなりませんでした。こうした手続きをせずに移動(逃散や逃亡など)をすると非人として扱われ、、改帳の記載から漏れて帳外れ(無宿)扱いになり、居住の制約を受けるなどの不利益を被ることになりました。そのため、今でいう住民票のような役割も兼ねていたといわれています。
【過去帳】
「過去帳」とは仏具の一種で、お寺にある「ご先祖様の名前(戒名)と亡くなった年、享年が書かれている帳簿」のことです。家の仏壇に備えておく過去帳もあります。公的に作成されるものではありませんでしたので、藩が管理するものではなく、「お寺」か「家(本家)」にあるものでした。江戸時代は寺請制度のもと、お寺が今でいう役所のような役割を果たしていましたので、過去帳も重要な管理機能を担っていました。
過去帳参考記事はこちら↓↓↓
【分限帳】
分限帳(ぶげんちょう・ぶんげんちょう)」は、江戸時代に大名家家臣の名や禄高、地位、役職などを記した帳面。別称に侍帳、家中帳、給所帳。
ウィキペディア(Wikipedia)より
江戸時代の大名の家臣の名前や役職などを記載した武士名簿のことをいいます。公的な帳簿であり、武士しか掲載されませんので、武士の戸籍のようなものといえます。江戸時代に武士に地位・米・土地を与えたりするための管理名簿の役割を果たしていました。
ご参考になれば幸いです。
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