お寺の過去帳は400年超の歴史がある??

プライバシー保護法ができた後、お寺の取り扱いも秘匿するようになった過去帳。

近年、差別戒名記載に関する調査が各宗派で行われ、差別的記述の削除改訂・過去帳新調などの対応もとられています。

閲覧禁止とする寺院も多く、いまでは閲覧できるだけでも幸運だとも言われています。

過去帳は、先祖代々の生死の記録が書きつけられたものです。

そんな過去帳が出来た由来を追いかけてみると、やはり、その時歴史は動いていました。

現代では信教の自由が認められている日本ですが、かつては「仏教を信仰し、必ず菩提寺(ぼだいじ:先祖代々の墓があり、仏事などでお世話になる寺院)を持ち、その檀家となること」が義務付けられている時代がありました。

江戸時代にはこの考え方が精査され、より効率的に、より的確に管理がなされるようになりました。

そんな時代背景の中で「この檀家には何人の家族がいて、そしていつ亡くなったか」を菩提寺が確認するために「過去帳」は確立されました。

これは現在の戸籍のような役目も担っており、長く使われてきました。

菩提寺には檀家の過去帳が製作されて保管されていますし、檀家の方でもまた個別で過去帳を持っています。

過去帳の歴史をさかのぼれば、古いものだと1600年代のものもありますから、ざっと400年超の歴史でしょうか。

しかしながら、日本全国どこのお寺・どこのお宅でも必ず400年分の過去帳があるという訳ではありません。

実際には、2回の大戦や火事、地震などの災害で過去帳が失われてしまった事例もあります。

お寺の過去帳の特徴的な事柄として、お寺の過去帳は家々毎には記帳されていません。そのお寺の檀家の人が亡くなられた年月日毎に記帳してあります。お寺によれば月日毎に記帳している場合もあります。

例えば、寛文年間に亡くなられた方も平成に亡くなられた方も同じ月日であれば同一のグループとして記帳されています。

これは法事が所謂祥月命日に行われるからです。

過去帳に必ず記載されているのは故人の俗名、法名、居住地、没年齢です。これに加えて、ごく稀に、お寺によれば戸主との続柄、所有していた田畑も記載してあることもあります。

時代の流れの中で、一言では言い表せない変遷を遂げてきた過去帳。

そこに携わられてきた多くの先人の歴史も、同時にあるのですね。

最後までお読みいただきありがとうございます。

ささやかに用意しておきたい事柄ですよね。